村上春樹と原発と説得力
初めて読んだときは、なるほどーと感心してしまったのでした。
たしかに年間の交通事故死が約5000人というのは問題ですよね。それについてはなんとか方策を講じなくてはと、もちろん僕も思います(最近は年々減少しているようですが)。しかし福島の原発(核発電所)の事故によって、故郷の地を立ち退かなくてはならなかった人々の数はおおよそ15万人です。桁が違います。
確かに桁が違う。交通事故と比べ物にならないなあ。
それからちなみに、「年間の交通事故死者5000人に比べれば、福島の事故なんてたいしたことないじゃないか」というのは政府や電力会社の息のかかった「御用学者」あるいは「御用文化人」の愛用する常套句です。比べるべきではないものを比べる数字のトリックであり、論理のすり替えです。僕は何度もそれを耳にしてきましたが、耳にするたびにいささか心がさびしくなります。
そうか、数字のトリックなのか。すっかり騙されるところだった。。。
と、言う具合に、すっかり春樹の数字のトリックに騙されてしまいました。
数日間、原発いかんなあとおもって過ごしていたら、こちらの記事に遭遇。
経済学者の池田信夫さんの記事です。
同じ死者で比べたら、福島で放射能で死んだ人はゼロです(今後も出るとは考えられない)。まさか村上さんが死者と避難者を読み違えたとは思えないので、原発事故の被害のほうがはるかに少ないことをごまかそうとしたのでしょう。あなたはこう答えています。
え。放射能で死んだ人はゼロなの?
石炭火力による大気汚染や炭鉱事故で、世界で毎年約100万人が死亡し、地球温暖化への影響も心配されています。村上さんのように原発をいやがる人が多いので、日本の電力会社は石炭火力の新設していますが、それによって確実に環境は悪化し、人的被害は増えます。
数字のトリックこわい。具体的な数値は説得力があるので、頭の悪いぼくはすっかり騙されてしまっていました。。。
はずかしながら放射能で死んだ人はゼロっていう話は初めて聞いたので、
いろいろ調べていたら、原子力発電所の事故による直接の被害者はいないそうな。
だから原発OKって話ではなくて、
仮にも文章を書くことを生業としている小説家が、自分の意見を正当に見せかけるために数字のトリックをつかっちゃダメなんじゃないかなあと思ったという話です。
否定派の人は感情的に自分に都合のいい情報だけを信じて騒いでいる人が
多い(目立つだけかな?)気がしますね。
放射脳と揶揄されるのもしょうがないような。。。